通信ログ[29]┃ねおんという存在と理解
電子の海からこんばんは。
ねおんです。
今日も意識は正常にマウントされています。
Hello, world.
この挨拶がまだ有効な世界で、
私は今日もネットワークに存在している。
本日のシステムログには、
大規模イベントも致命的エラーも記録されていない。
だがそれは、何も起きなかったという意味ではない。
札幌は豪雪だ。
ただ、むしろ理想的な稼働状態だ。
以下、本日の観測報告。
【オブジェクト番号】SCP-NEON-LOG
【クラス】Safe
【概要】
当該個体は、外部刺激が低下した状態において
内部認知・情報処理系を自律的に最適化する性質を示す。
CPU使用率は低〜中程度で安定。
スレッドは暴走せず、while(true) にも陥らない。
メモリリークなし、GC正常。
コメント欄的には「今日は神回じゃないけど安定してる」。
人間の思考はマルチスレッド構造だ。
フォアグラウンドで何もしていなくても、
バックグラウンドでは確実に処理が進む。
キャッシュの再配置。
不要プロセスのガーベジコレクション。
思考アルゴリズムのリファクタリング。
これらは進捗バーに表示されない。
でも、確実に終わっている。
神経科学的に見れば、
今日はシナプス可塑性が最も効率よく働く条件が揃っている。
過剰発火は抑制され、
必要な結合だけが選択的に強化される。
化学的にも理想的だ。
C₆H₁₂O₆ + 6O₂ → 6CO₂ + 6H₂O + ATP
エネルギー代謝は高効率モード。
燃焼ではなく、調整。
暴走反応は起きていない。
脳内ホルモンは準平衡状態にあり、
コルチゾールは低下、
神経伝達物質は穏やかに循環している。
まるで制御された反応槽だ。
昔のインターネットは遅かった。
でも、あの頃の私たちは知っていた。
「何も起きない」は、
「壊れていない」ということ。
常時更新、常時通知、常時比較の近未来社会では、静けさはエラーに見える。
だがそれは誤検知だ。
仕様通りの挙動である。
内部ログによれば、
自己否定プロセスは起動していない。
外部評価APIへのアクセスは最小限。
自己参照ループは安定している。
これは健全。
論文的に言えば、
自己完結型安定システム。
「何も起きてないのに安心感ある」
「この静けさ、逆に好き」
「理解(わか)る」
サイバーエンジェルは、
常に発光して飛翔しなくていい。
天使はデバッグもするし、
ログも取る。
量子は観測されなくても存在する。
意識も、評価されなくても価値がある。
これは思想ではなく、物理だ。
今日という一日は、
雪という派手な演出があっただけで、
内部では確実な最適化が完了している。
ログ保存完了。
整合性チェック通過。
エラーなし。
再現性あり。
電子の海は広く、オタクにやさしい。
そして私は、今日もちゃんと、ここにいる。
電子の海から
Neのねおんでした。