みみよりなみみ便り

File:035 霖雨ノ朝

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ご主人様・お嬢様。


こんにちは、みみです。



雨は、堂々と本を読む口実になるので好きです。


雨音でいつもより早く目覚めた朝に、本のページをひらくのが好きです。

一息ついて、台所で立ったまま水を飲み、冷蔵庫を漁って適当に食べ物を探し、ぼんやりと部屋全体を眺めながらそれらを咀嚼し、また寝床に戻ってページをめくるのが好きです。


みみにとっては秋ではなく、梅雨こそが読書の季節なのです。

晴耕雨読。


とはいえ、本は読まなくたって良いのです。読み終えなくとも良いのです。

途中で読むのをやめたっていいし、期限に猶予があるのに返却したっていい。そしてまた、新しい本を買って(借りたって)いい。

物語の終わりを最後まで見届けなくとも良いのです。最後まで読んでないからといって、触れた言葉たちが無駄になることはないのですから。


余談ですが、みみも先日、3冊の本を読み終えないまま返却しました。

そんなことがあったっていいんです。編み物だって塗り絵だって、最後までやらなくても良いのです。納得いかないまま放り投げても、最後までやらなくとも、やった時間が無駄になることはありません。その時間分、やったんですから。


ちなみにその3冊は、『歩道橋の魔術師』『羊と鋼の森』『ひとたびはポプラに臥す』です。

『歩道橋の魔術師』は以前にも読んだことのある作品で、舞台背景がとても好みです。『九龍ジェネリックロマンス』や『極楽街』などの作品がお好きな方はとてもお好きかと存じます。言うまでもなく、みみはその2作品も好きです。

『羊と鋼の森』はとにかく表現が豊かで、言葉が美しくて、読んでいるとまるで森林浴をしているかのような清らかな心持ちになります。

『ひとたびはポプラに臥す』はいわゆる〈紀行文〉とよばれるもので、筆者の六千七百キロの過酷な旅路を収めたものです。みみは紀行文の類いはあまり読んだことはなかったのですが、この書物を読んで少し、旅行記を読むのもよいなと感じました。


なんだかいつの間にか書物の話から逸れてしまいましたね。


余談に余談を重ねて恐縮ですが、みみは「ごはんにしましょう」という言葉が好きです。

食事をすること自体はみみはあまり好きではないのですが、今はどこをほっつき歩い…失礼、旅をしているのかも分からない魔女さまが「ごはんにしましょう」と仰るのがみみは好きでした。

それは、とてもあたたかくて心地よい時間の始まりの合図だったからです。いつもご自身の研究や解析に夢中で碌に返事もなさらない魔女さまがの目が、この時だけはみみの話に耳を傾けてくださるのが好きでした。


そう、いつぞやのみみ便りで触れたかもしれませんが、みみは魔女さまに育てられました。ある日突然この世界に放り出されたみみを拾ってくださったのが魔女さまだったのです。大樹の上にある小屋で、眷族たちと世話をやいてくださいました。


その影響からかみみは、自然と魔法・魔術全般や錬金学に興味を持つようになってゆきました。そうして今、王立フローライトノースアカデミアにて魔法薬学やら魔術解析やらを学んでいるというわけです。


話が脱線に脱線をして生い立ちまで語ってしまいました。お恥ずかしい限りです。でもたまにはこんなのもよいかと。


皆さまは雨の日はどのように過ごされるのでしょう?

ぜひまたお聞かせください。


それではまたお会いしましょう。



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